地域特化型クラウドファンディング「FAAVO by CAMPFIRE」に思うことを書き綴ってみた

FAAVO by CAMPFIREに思うことを書き綴ってみた

2018年4月、CAMPFIREは地域特化型クラウドファンディングFAAVOを株式会社サーチフィールドから事業譲受したことを発表しました。※1

正直これには驚きで、内心凄い興奮しています。今回はこの発表を受けて、いろいろ思ったことを書きました。

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私とFAAVO、CAMPFIREの関係性

2016年1月に家入さんからDMをもらい、実際にお会いしてCAMPFIREで働くことを決めて、意気揚々と上京しましたが、その後連絡が取れず、東京でどうしようかとブラブラしていた時期がありました。

そんな時に知人経由で齋藤さんとお話することができ、約1ヶ月間程度FAAVOでインターンしていたことがあります。その後、家入さんと連絡が取れるようになり、CAMPFIREへ行くことを決めました。

もともと地域活性化への興味や地元の秋田のためになにかしたいということもあり、クラウドファンディング×地域の可能性をもっと見てみたいという想いがありました。
FAAVO(わずか1ヵ月ではありますが)、CAMPFIREと2つの購入型クラウドファンディングサービスに関わることができて、本当に良かったです。

今思えば自分勝手に決めてしまい、齋藤さん、当時のFAAVOメンバーに大変ご迷惑をおかけしました。申し訳ございませんでした。
※CAMOPFIREにジョイン後、CAMPFIRE×LOCAL事業はすでに始まっていましたが、CAMPFIREに行ったあとはLOCAL事業に関わっておりません。

国内の購入型クラウドファンディング業界の現在

ここからは今回の発表を受けて、これからの購入型クラウドファンディング業界やサービスの可能性について、思ったことを書きます。

2011年に国内初の購入型クラウドファンディングReadyforがスタートし、これまでに百数十の購入型クラウドファンディングサービスが登場しています。※マサヤの独自調査

2018年で8年目を迎えるこの業界ですが、すでに数多くのサービスが更新停止や閉鎖となっています。そして現在はいくつかの大手サービスで購入型クラウドファンディング市場の大半を占めているといえる状況です。

先述したReadyforCAMPFIRE、CCCグループのGREENFUNDING、サイバーエージェントグループのMakuake、朝日新聞社が運営するA-portなど長年実績がある、もしくは大手企業の1つの事業として展開しているサービスが成長していると見ています。
※上記以外にも日本経済新聞社やSONYなどの大手企業も購入型クラウドファンディングサービスを開始していますが、全て紹介するのは時間がかかるので割愛します。

ただし、各購入型クラウドファンディングサービスの単月流通金額は月ごとの差も大きいと考えられることや各データ公開はされていないため、どこのサービスが1番なのかは判断できません。

2017年度の購入型クラウドファンディング市場規模については、矢野経済研究所の調査によると、約80億円と見込まれています。※2

購入型クラウドファンディングのビジネスモデルと課題

購入型クラウドファンディングサービスが数多く閉鎖していった要因の1つはビジネスモデルにあります。

地域特化型クラウドファンディング「FAAVO by CAMPFIRE」に思うことを書き綴ってみた

購入型クラウドファンディングの主なマネタイズポイントはプロジェクトで集まった金額から差し引く手数料収入です。その他に支援時の決済手数料や起案者への早期振込手数料など細かいものがいくつかあります。

シンプルなビジネスモデルではありますが、購入型クラウドファンディング事業しかないスタートアップ企業の場合は、どこまでプロジェクト数=起案者を増やしていけるか、もしくは目標金額が高いプロジェクトを掲載できるかなどプラットフォームサービスをどうスケールさせていくかという戦略とそれに耐えるまでの体力(資本)が必要でしょう。

ちなみに、先述した約80億円の市場規模で試算してみると以下の通りです。※市場シェア率を30%と仮定。

年間の流通金額:80億円×30%=24億円(年間)
1ヵ月あたりの流通金額:24億円/12ヵ月=2億円
1ヵ月あたりの売上:2億円×手数料10%=2,000万円

FAAVOのビジネスモデル

FAAVOはエリアオーナー制度を導入しており、このビジネスモデルで主な収入を得ているといえます。

地域特化型クラウドファンディング「FAAVO by CAMPFIRE」に思うことを書き綴ってみた

このビジネスモデルの課題は、エリアオーナーの継続性といえるでしょう。
全国各地に熱量を持ったエリアオーナーが立ち上がってはいくものの、それが2年、3年と継続して運営できるかが難しく、FAAVOというハコだけがあるといった状況になる可能性も否定できません。

各地域のFAAVOコミュニティをどう継続して運営していけるかが課題といえそうです。

FAAVO by CAMPFIREの今後の可能性

今回発表されたプレスリリースには以下の記載があります。

今後は、「FAAVO by CAMPFIRE」としてより充実したパートナー制度でさらなる地域プロジェクトを開拓し、地方金融機関との連携を進めて参ります。

同時に、「CAMPFIREレンディング」によるソーシャルレンディングなど幅広い資金調達手段の提供や、ふるさと納税を活用したガバメントクラウドファンディングの推進及び「FAAVO by CAMPFIRE」と「polca」の連携を検討しており、クラウドファンディングを主軸とした多様なサービスを提供し、「FAAVO by CAMPFIRE」及び「エフバイジー」の2020年の年間流通金額は65億円を目指します。

この文章から、それぞれのサービスがどう連携し、どのような可能性があるかを考えてみました。

F×G(エフバイジー)

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F×G(エフバイジー)はふるさと納税を活用したガバメントクラウドファンディングサービスとして、サーチフィールドが2016年10月にリリースしました。これまでに福井県鯖江市や埼玉県秩父市などの自治体が参加しています。

CAMPFIREはガバメントクラウドファンディングのサービスを展開していませんでした。CAMPFIREに運営が移管されることにより、

  • 寄付型(GoodMorning)
  • 購入型(CAMPFIRE)
  • ふるさと納税型(F×G)
  • 月額支援型(ファンクラブ)

のプロジェクトがCAMPFIRE上で可能になります。上記の類型全てを選べる購入型クラウドファンディングサービスは国内初でしょう。
※他のサービスと比較すると、例えばReadyforの場合、月額支援型がありません。
※寄付型は特定の法人格、ふるさと納税型は自治体のみが起案可能です。

CAMPFIREとFAAVOのエリアオーナー数は全国360団体(48の提携金融機関・52の提携自治体含む)と国内最大です。今後プロジェクトの相談をしたい方はさまざまな種類の方式を選べるようになり、さらなるプロジェクト数の増加が期待されます。
「まちでいちばん身近なクラウドファンディング」が浸透していきそうですね。

https://fbyg.jp/

pocla(polca)

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polcaはフレンドファンディングアプリと呼ばれており、LINE PAYやpaymoといった集金アプリと類似しているサービスです。

特徴は購入型クラウドファンディングのプロジェクトで必要だった審査が必要なく、タイトルと目標金額、1つのリターン設定で簡単にプロジェクトを始めることができることにあります。またURLを知っている人だけが、プロジェクトを見て支援できるため、パーティーや誕生日会、出産祝いなど友人・知人にだけ共有することで、不特定多数に拡散せずに済むのもメリットとなっています。

このpolcaがFAAVO by CAMPFIREと連携することでなにが起きるのでしょうか。

個人的には、CAMPFIREとFAAVOの会員情報の統合によるCAMPFIREの支援専用アプリみたいなサービスになるのかなと考えています。

Makuakeもアプリを出しているのですが、やっぱりpolcaで体験できる300円からの少額支援と決済スピードは群を抜いています。
polca内のプロジェクトはもちろん、CAMPFIRE上の全てのプロジェクトに簡単に支援できるようになると凄い便利になるはず。

支援時には住所などさまざまな情報入力が必要になることも多いので、アカウント情報統合はやるのではないかと思います。(規約上問題がなければ)
決済手段もau、ソフトバンクのキャリア決済、VISA、MasterCard、JCB、Diners Club、American Expressのクレカ決済、コンビニ払い、ビットコイン支払いと豊富なので、ますます支援者側も支援しやすくなりますね。

https://polca.jp/

CAMPFIREレンディング

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2016年11月にCAMPFIREはソーシャルレンディング事業(海外ではP2Pレンディグ、マーケットプレイスレンディングが一般的)への参入を表明していました。
その後貸金業の免許を取得し、2017年11月にCAMPFIREレンディングのサービスを開始しました。

通常の与信に加えて、CAMPFIREで成功したプロジェクトの各データをスコアリングして与信評価に加えるのが特徴です。

このオンラインレンディングサービスも購入型クラウドファンディングとしては、国内初で、今後は金融商品取引業者(おそらく第二種)の免許を取得し、本格的にソーシャルレンディング事業への参入をするでしょう。(登録に時間はかかります)

CAMPFIREレンディングだけで考えてると、FAAVOのプロジェクトも加わることで、スコアリングの精度がより高まるのではないかと思います。FAAVOの合計プロジェクト数は比較的少ないかも知れませんが、プラットフォームが違うだけで、データも大きく異なっているのではと推測します。このスコアリングによっては、今の金利や貸出金額、各種条件も広がっていくといいですね。

またCAMPFIREレンディングはクラウドワークスやツクリンクと提携することで、貸付先範囲を拡大しています。今回の統合で全国360団体とのリレーションがより強化されることになるため、貸付先の対象も増えていくでしょう。

気になる点としては、CAMPFIREの資金で融資を行うことになるため、どれだけ融資額を伸ばせるかという部分ですね。
ソーシャルレンディングは借り手と投資家をマッチングすることになるため、CAMPFIRE自体が資金を提供することはありませんが、現在のCAMPFIREレンディングはCAMPFIREの資金で運営されていると思うので、どこまでスケールできるかというとわからないなと。さらに資金調達をして、資本強化することも考えられるので、今後の動向に注目です。

https://lending.camp-fire.jp/

今後も購入型クラウドファンディングの統合はあるのか?

以前MY HEROというスポーツ特化型クラウドファンディングがCAMPFIREに統合されています。※正確にはキュレーションチャンネルというページへの移行。

またBOOSTERというPARCOが運営している購入型クラウドファンディングサービスはCAMPFIREと共同資金調達の連携を取っています。統合とはいかないまでも、連携する事例もあるようです。

数々のサービスが更新停止・閉鎖になる中で、中小規模の購入型クラウドファンディングサービスが大手サービスに統合されていくことは避けられないでしょう。
今回のFAAVO by CAMPFIREの発表はこれを推し進めるキッカケになるかもしれませんね。


※1株式会社CAMPFIRE、地域特化型クラウドファンディング「FAAVO」事業譲受:
※2:国内クラウドファンディング市場の調査を実施(2017年)

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マサヤ

マサヤ

国内外のFinTech(フィンテック)を中心に、金融、STO、スタートアップなど幅広くブログで情報発信。国内FinTechスタートアップ(資産運用ジャンル)マーケティング/1992年世代/秋田県出身

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